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玉虫色の鈴木亮平ヒュウゴ

これまで、ずっと、ドラマの底に流れていた

バルサの哀しみと思いが

今週放送される5話で

バルサ自身の口から、とつとつと語られます。

 

粗末な宿屋の戸口に佇むふたりを

昼下がりの、少しあせた光がつつんでいて

私はビクトル・エリセという監督の映画が好きなのですが

その光の感じを思い出しました。

 

ファンタジーは

「光と闇」の善悪二元論が描かれる

単純な物語だと思われがちですが

私は、そんなことはなかろうと思っています。

 

『指輪物語』は一見、

サウロンという闇の帝王と

エルフや灰色のガンダルフなどの光の勢力との戦いを

描いているように見えますが

物語をじっくり読めば

そんな単純な話ではないことに気づくでしょうし

『ゲド戦記』もまた

そんな単純な話ではありません。

 

観る者の位置によって色が変わる

玉虫の背ように

私の物語の中を生きている者たちも

彼らを観る立場によって

見え方が変わります。

 

イーハンを慕い

長い年月をかけて策を練ってきたシハナと

自分の家族を殺した帝国に仕える武人となったヒュウゴは

とくに

ひとつの色に固定できない

玉虫色の人々です。

 

鈴木亮平さん演じるヒュウゴが

ここから、どんどん存在感を増していきますが

何を考えているのかわからぬ

チャグムにとって敵なのか味方なのかもわからぬ

玉虫色の男を

鈴木亮平さんは見事に演じておられて

しかも

その得体の知れない感じに

分厚い男の色気があって

すごいな、と思いました。

 

鈴木さんと対談をさせていただいたとき

レポート用紙にぎっしり質問を書いてきて

「今日は、これを聞きたくて」

と、言われたときは

ビビりましたが(笑)

それだけ真剣に

このヒュウゴという役に向き合ってくださっていることが

本当にうれしかったです。

 

眼光するどいときは威圧感があるのに

笑ったとたん

ふわっと辺りが明るくなって

そのお人柄の温かさが伝わってくる。

 

ヒュウゴの衣装の写真を見ながら

「この襟飾り、なんか、薬莢入れみたいですね」

と、言ったら

「いや、ここに入っているのは薬莢じゃないんですよ。

一応、ぼくなりに設定しちゃったんですけど

ヒュウゴは世界中を駆け巡っている男なんで

その土地、その土地にある香辛料を集めて、ここに入れてるんです」

とか、おっしゃって、

そのうち、ヒュウゴの料理店

(だったか、ヒュウゴのカレー屋だったか)を

開くスピンオフが出来れば、なんて、笑っておられた

その笑顔が素敵でした。

 

5話でも6話でも

ヒュウゴは得体が知れません。

それでも、不思議な魅力がある。

 

それは

あるときは変体仮面

またあるときは銭形警部

しかして、その正体は?

という、

一色に固定されない

玉虫色の才能をもつ

鈴木亮平さんだからこそ

かもしだせる魅力なのでしょうね。

 

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■NHK大河ファンタジー「精霊の守り人」公式サイト

第5回「聖なる場所へ」

NHK総合 2017年2月18日(土)
午後9時から9時58分

NHK総合 2017年2月25日(土)
午前0時10分から1時08分
[24日(金)深夜](再放送)

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