みなさん、視界をゆ~っくりと黒いゴミのようなものが
漂っているぞ~という経験
ありませんか?
ゆっくりと落ちていくのに
眼球を動かすとまた上に登ったりして
けっこう煩わしいですよね。
次第に慣れて、いつの間にか気づかなくなっているアレ
蚊が飛んでいるのに似ているので
飛蚊症と呼ばれているそうですが
生理的な飛蚊症は
老化現象で(ため息)
若い頃は眼球に満ちていたゼリー状の硝子体が
年をとるにつれて少しずつ縮んで
線維が浮遊することが多くなるのだそうで
気にする必要はないそうです。
でも、突然、ぱ~っと飛蚊症が悪化したら
網膜剥離の可能性があるので
気をつけてくださいね。
という、その恐ろしい、
一時にぱ~っと黒い糸くずの大群が現れる現象を
今回、まざまざと体験しました。
網膜剥離になったわけじゃなくて
硝子体の奥にある黄斑の上の膜をはがすために
硝子体を削ったのです。
で、ですね
硝子体手術って、猛烈に不思議な経験だったのです。
まず、ぷっつん、ぷっつん、と
ごくごく細い棒が
眼の中に入ってくるのを感じます。
2本入っていったのだと思いますが
(照明用を入れると3本だったのかも?)
私には1本だけ細い棒が見えていました。
え、見える?
と、思った方
そうなんです。
眼球の中で行われていることが
見えるんですよ。
眼球の中に入っているものが「見える」!
不思議だと思いませんか?
だって、「レンズの内側」が見えているわけですもの
不思議だ~、と思っているうちに
細い棒が動きはじめました。
これが動くたびに
「ワン! トゥー!」
というような、機械が発する英語が聞こえて
機械の唸りがあがり
とたんに
視界に、ぶわ~っとゼリーの水流のようなものが
現れます。
その水流に乗って
例の黒い糸くずゴミが激しく舞うのです。
私の感覚だと
金属の細い管でそれを掃除していたように見えたのですが
後で、助手をされていた新木先生(こちらも美人!)に伺ったら
硝子体は結構硬度があるゼリー状のものなので
それを削っていたのだそうです
しっかりキシロカインの麻酔が出来る人は
痛くないのだと思いますが
私の場合は
かなり痛かったです
まあ、耐えられない痛さじゃありません
「こりゃ、あれに似てるな
歯医者さんで、麻酔をした後に歯を削られてて
神経がまだ生きていて
けっこう痛くて
でもまあ、耐えられない痛さじゃあない鈍痛で
でも痛くて、早く終われ~っと思っているアレ」
と、思っていると
「そうね、12時の方向はこれで......」
のような声が聞こえ
え? 12時の方向??
すると、もしかして、他の方向も削るの??
どひゃあ......と、心の中で、小さくつぶやいたのでした。
時間的には
これが一番長かった気がします。
やがて、機械の、ワン、トゥーが聞こえなくなったな、と思ったとき
「上橋さん、それじゃ、これから黄斑の膜を剥がしますから
絶対に眼球を動かさないでくださいね」
という、大越先生の声が。
それから
硝子体を削っているときよりも
さらに不思議な現象がはじまったのです。