アーシュラ・K・ル=グウィンの訃報を読み
いま、自分でも驚くほど
強い哀しみをおぼえています。
高校生の頃『ゲド戦記』と出会い
ずっとその著作を愛し続けてきました。
同じく高校生の頃に読んで
大きな衝撃を受けた
『イシ ――二つの世界に生きたインディアンの話――』の著者
(この本はいまも、私の背中側にある書棚にあります)
シオドーラ・クローバーが
ル=グウィンのお母さんであることを
大学時代に知って驚き
その後
かの有名な文化人類学者
アルフレッド・クローバーが父であることを知ったときには
驚くというより
なるほど、と思いました。
老荘思想や文化人類学など
私が心惹かれてきたことの欠片を
彼女の作品に見つけるたびに
なんだか、
私の前を、ぐいぐいと遠くまで歩んでいく彼女の背が
見えたような気がしたものです。
気負わず歩き
この世とあの世の境をすっとまたぎ越えて行った彼女が
いま安らぎの中にあることを
心から祈っています。
ル=グウィンさん
素晴らしい物語を、ありがとうございました。