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アシガール!

録画して楽しんでいます
ドラマ『アシガール』

私はもともと森本梢子さんの漫画が大好きで
『アシガール』も大好き

『研修医なな子』にハマって
その後、『ごくせん』『デカワンコ』
『高台家の人々』にハマり
毎度、大笑いしながら
「上手いなぁ~」を連発しながら読んでいるのですが
ドラマ『精霊の守り人Ⅱ 悲しき破壊神』の演出家のひとりだった
中島さんの演出で
守り人スタッフも随分関わって
『アシガール』がドラマ化すると聞いて
とても楽しみにしていたのです。

中島さんは
鈴木ヒュウゴさんを半裸で吊るした演出家(笑)
とても細やかに考えているのに
その細やかさを顕わにみせない
巧みで、どこか温かみのある演出をされるので
楽しみにしていました。

同時に
森本さんの漫画の魅力って
漫画ならでは、なので
人間が演じると難しいだろうなぁと
思っていました。

森本さんの漫画は
リアリティを見事に無視して
「現実」を「てのひらで転がし」ています。

それを手抜きのご都合主義に感じさるどころか
むしろ
そのリアリティをぶっ飛ばしたところに生まれる
独特のリアルで
笑わせ、惹きつけ、スカッとさせる。

これは、猛烈に難しいことで
すごい才能だなあと
読むたびに思います。

さて
これをドラマでどう表現するのだろう
と思っていたら
一回、二回、と進んでいくうちに
物語世界がどんどん
こなれてきて
おお、こういうふうになるものなんだなぁ、
と思いました。

私の世代だと
つい、懐かしの少年ドラマシリーズを
思い出してしまいます。
いま十代だったら
きっと、きゃーきゃー
友だちと盛り上がっていたでしょう。

黒島結菜さんと
健太郎さんが
本当に魅力的で
血の通った若いふたりを
思わず応援したくなるし
イッセー尾形のジィと
ともさかりえのおふくろさま
みんな、とても良くて
役者の力って大きいなぁと
あらためて思いました。

同時に
演出と脚本の
ドラマ作りの工夫でも
ああ、なるほど、と思うところがいくつもありました

昨日(10月21日)放送された回で
若君さまの超美形お母さまが
すでに亡くなっているという設定に
原作読者は驚いたのでは
と思います。

私も驚きました。
あの、おっとりしているのに
旦那さんをうまく操縦する美形奥方
好きだったので
そうか、登場しないのか~と
ちと残念でした(笑)

その一方で
若君さまのお母さん不在は
正しい判断だったなぁとも思いました。

予算のこともあるでしょうが
唯に
実母と、戦国時代の養母
ふたりの魅力的な母がいますから
短い話数で描いてく中で
これ以上「母エピソード」を増やすと
印象が散漫になってしまいます。

このあいだ
宮部みゆきさんと対談していて
あ、そうでしょ!?
わ~一緒だぁ!!
と、盛り上がったのですが
物語をつくるときって
不思議なことに
一瞬で
ふわっと全体が見えていることがあるんです。

詳細な全体じゃありません。
でも、大きな印象の塊が見えるんですよ。
その印象の塊って
きっと
絵を描く人や
映画を創る人
盆栽をつくったり
作曲をする人
みんな、なんとなく
同じようにもっているのでは、と
感じることがあります。

森で生きる木ではなく
小さな鉢の中で生きる木に
どの枝を残し
どの枝を伸びさせ
どの枝を切るか

それを「見る」力が
きっとセンスと呼ばれるものなんでしょう。

11月25日から始まる
ドラマ『精霊の守り人』の最終章でも
制作者の皆さんとじっくり話し合って
ひとり
重要な登場人物を「ないことに」しました。

その枝があることで
ドラマの全体を導く力が散漫になって
推進力が鈍る、と感じたからです。

漫画からドラマへ
本からドラマへ

生きる領域の広さを選べる媒体から
様々な制約のある鉢の中へと
物語を移すとき
何を切って、何を生かすかは
本当に難しくて
でも、大切な判断なのだと思います

それにしても
マボ兵くん、漫画原作そのものだったなぁ
悪丸が
「カワイイ......」ってつぶやくのも
可愛かったけど(笑)

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